ヒトリゴト. 日々のツブヤキ日々の言葉。
・2013/5/19・
もったいない。
眠るのがもったいないいつも
眠ったら明日が来てしまうよ
明日になるのがいやなんじゃなくて
今夜の方が大事だもの
・2013/4/22・
遠投。
僕は楽しみなんだ
この先が
いっつも
ずっと
・2009/10/9・
愛車で。
愛車ヴィッツで今日も都会の街を走ってました、
台風が雲々の群れを連れ行った後、きれいに入れ替わる様に、金木犀のむっとした芳醇な匂いが、街に滑り込む、
ぼくらドライバーは、窓を開けて金木犀の香りの後を辿る、
オレンジ色のキンモクセイレール、見える様だ、
ビルの隙間からは、匂いに誘われたカナブンとか、熊とか、出てきそうだよ、
ひんやりとした風、あたりに蔓延る目紛しいライトの数々、街路樹の落ち葉の当たる音、透明な夜、
小柄な車体にまとわりつくその全てが気持ち良くって。
・2009/9/29・
ギター。
ギターを持つと、重心が傾く、
バランスが悪い、
なんかすでに攻められているような、
それから僕は、
引き寄せて、
集めて、
この気持ち何にも変えられないから、
たった歌とか、
たった詞、
とかに、
甘んじるしかない、
・2009/9/28・
クエスチョン。
相手が望む以上の愛を注いだ時の
こぼれた分は何処に行ってしまうんだろう
・2009/8/4・
ランドマーク。
悩んだってしょうがないんだよ、
僕らはただ、
歌えば、いいんだよ
・2008/9/19・
レ-ルウェイ。
電車の中、携帯音楽プレーヤーの音量が大きい男性。
電車の中はみんな知らない人。みんな気にしない振り。友達になれない、笑いかける事も出来ない人との距離数センチ。
車内放送の声とかが自動。
電車のドアを開ける余裕くらい僕はあるよ。
席が空くと、孫に座らせる老人。
スイカの残高が\781になっていたので\5000入れて\5781。
夜は満月だった。
地下鉄の駅で電車を待っている時に手帳を開いた瞬間、挟んであった紙がひらっと落ちた。
前を通りかかった若い男性がそれを躊躇わず拾って渡してくれた。
・2008/4/3・
音楽の強迫。
初めの強迫観念はギターを初めて手に取った頃からの、『ギター弾かないと』で、
そのあとは、『曲書かないと詩書かないと』が増えて、
そして、『ある曲ぜんぶ録音しないと』に。
オービルバイギブソンの335がスタートボタンだったなんて。
・2007/12/7・
ツインズ。
双子は同時に涙を流す。
双子は似てるがちょびっと違う
片方はいつも帽子を被っている
片方はいつも青い服を着ている
右の方は山の絵を描いていた
左の方は海岸の写真を撮っていた
ファ-ストフードのチーズバーガーを頬張る
カロリーメイトのフルーツ味を頬張る
どっちかはチャイナタウンに太極拳を習いに行く
どっちかは米軍基地に英会話を習いに行っている
そして夜には一緒の部屋に帰り
きまって同じベッドに眠り
双子は同時に涙を流す
・2007/7/26・
しずくが一つ。
一滴の雨が落ち、僕に当たる。
一っぺんの花びらが落ち、僕に当たる。
一線の太陽が落ち、僕に当たる。
僕は気付いて、上を向いた。
僕に当たった。
地球はずっと続く一枚の板。
僕はそこにずっと立っている。
僕は前を見て、少しだけ泣いてたくさん笑った。
空は青く、赤く、黒い。
蜂蜜は甘く、海はからい。
・2007/4/26・
七日間。
土曜日ほど魅惑的でなく、
日曜日ほど平和的でなく、
月曜日ほど新しくなく、
火曜日ほどさり気なくもなく
水曜日ほどパワフルでなく、
金曜日ほど躍動しているわけでない、
ちょうど中間の、木曜日が、今は一番麗しい。
・2007/2/20・
雪の降らない街の。
雪が降らないなあ
好きなのにな
雪がふらっと降れば
春の日を想像して
寒さと暖かさの両方を
並べたり出来るのにな
寒くて
暖かくて
暑くて
涼しくて
日本の四つが好きなのになあ
・2007/1/18・
世界ふしぎ発見。
僕がつくり出している訳じゃない。
もとからあるものなんだ。
僕らはそれを繋ぐだけ。
僕らはそれを伝えるだけ。
・2007/1/15・
ミルク・オン・ザ・プラネット。
壊さないという事は大変な事だ。
何もかもすべては、形づくる所から始まり、そしてその時点から、壊れて消えてしまう運命を背負っている。
さらに人は、壊したいという欲求を持っていて、誰もがそれには逆らえない。
でも、大切なものがある。
大切なものを築きあげたい。
急ぐ必要なんてない。
開かれた時間は、ここにしかないのだから。
流れる日々の中、僕の目の前の大切な人たちは、めぐり行き、姿は変わり続ける。
いつだって、大好きな友達を、笑わせたいよ。
いつだって、恋焦がれる人を、笑わせたいよ。
・2007/1/15・
仕掛け。
誰かの為にと、働くその姿は、なによりも美しい。
誰かの為にと、歌うその姿は、なによりも美しい。
・2006/11/23・
静画と無臭が動き薫る。
秋にはきっと何も無いから、この麗しい落ち葉を残していくんだろ。
この風の絹衣を振り掛けるんだろ。
補うつもりの、木々の黄葉を、遥かな千金に代えて、僕たちに、モノクロの中の極彩を織り込む。
そして、僕たちは今日とコートを羽織る。
・2006/10/15・
ドライブ・イン・ザ・フィッシング。
夜の国道を車で走ると、秋の街路樹がちらほら枯葉を放り投げていた。 枯葉はヘッドライトに照らされ、跳ね回っていた。
光ったそれは、海面を跳ね回る金色の小魚の様だった。
そのまま小魚の群れを連れて、インターチェンジを潜り抜け高速を走った。
幾何学的にコンクリートが絡まっている高速道路はロマンチック。
遠くから迫る、光を放射状に放った化学工場はメルヘンチック。
・2006/9/18・
夜のお仕事。
飄々と立ち回る雲の群れは、月明かりに照らされて台風の予兆を演出するおもちゃの兵隊みたいだ。
見ていると、三日月の下半分に小さい雲の一つが被さって、かわいく寝間着みたいになっていた。 こんな月なら恐くもない。
周り中から聴こえる虫の声は、家全体をシーツでふわっと掛けた様に瞬いている。
両手を夜にくぐらしてみる。 夜をすくってみる。 目の前の夜は手の中に入ってこんなにも近くにあるのに、この夜を辿って
いったら屈強な台風の風があったり、もっとずっと遠くに行くと銀河のざわめきがあったりするらしい。 でも夜は夜で同じもの
だから、距離なんか無関係だろう。
皮膚にぴったりと触れて離れない夜は、太陽の届かないこの地球上の全ての海とも、大地とも、生き物とも、遠く自由に散らばる
満天の星群とおも引き寄せている。
夜は、夜の間に全ての隙間に流れ込み、全てのものをくっつけるという仕事を日課にしているんだろう。
・2005/12/9・
アイスル。
嫌いなんかじゃないんだ
もっともっと
すべてのものを
すべての人を
愛したいんだ
お願いだ
がんばるからさ
・2005/12/7・
瓶詰め花火と水中バレエ。
晴れの日はそれだけで満足だから歌なんか書かなくていいや。
雨の日は書き溜めた歌をつま弾くだけでいいや。
雨の日の雨垂れは、そっと束ねた瓶詰め花火。
雨の日には温もりに潜っていようか。
晴れの日には気持ち良いから歌を書こうか。
晴れの日の太陽は、すっと置かれた水中バレエ。
・2005/10/14・
光。
今日も、日の光、散っている。
明日は、何があるんだろう。
この先、何があるんだろう。
・2005/10/2・
ここにいたい。
この風景を失いたくない。
この愛する気持ちを失いたくない。
この細かいざわめきをずっと聞いていたい。
ほとんどの事、忘れてしまったけど、純粋さはやっと手に入ってきたよ。
純粋を手に入れて、やっと大人になってきたよ。
このまま僕は、ここにいる。
・2005/9/16・
秋の思惑。
もしも、音楽がそばに無かったら、音楽に触れられる距離にいなかったら、人生はとても味気ないものになっていたろう。
音楽はいつもいろんな事を教えてくれた。
音楽は仲間を連れてきてくれた。
音楽に出会った僕は、幸運だ。
・2005/7/10・
よどみない心で。
よどみない心であの人に接しよう。
よどみない心であの人にも接しよう。
こんにちは。
ありがとう。
大切な人。
名も知らぬ人。
やっとここに来た。
もう一歩向こうへ。
行こう。
・2005/6/16・
感じるの。
雨は、薄いビロードになって、街を、部屋をやわらかくふんわりと包む。
目がさめる。
落ち着く。
眠くなる。
何か求める。
未来への希望。
未来への不安。
今日もお疲れさま。
おやすみなさい。
・2005/6/8・
夏を貰う。
汗水たらして、一日が終わってたらいいな
毎日、太陽を懐かしく思って
毎日、夜を楽しみにして
少しの切なさと、深い眠りを持って
・2005/6/2・
なんとなく。
雨だろうが、太陽だろうが、どうでもいい。
花だろうが、海だろうが、どうでもいい。
ただ、見ず知らずの、あなたがそこに居るだけで、
ただ、僕の知る、あなたがそこに居るだけで、
僕には生きていく価値があると思うんだ。
・2005/5/31・
ぼくは今日も歌っていた。
・2005/5/30・
ぼくはこの国のありさまに腹が立つ。
・2005/5/29・
ぼくにもいい事があったりやな事があったりする。
・2005/5/28・
ぼくはこの世界を愛していたい。
・2005/5/27・
ぼくは歩く。
・2005/5/26・
ぼくには自分よりも大切なものがある。
・2005/5/25・
ぼくは誰かの為に歌う事ができる。
・2005/5/24・
ぼくは全てが嫌になったりする。
・2005/5/23・
ぼくは希望にもえたりする。
・2005/5/22・
ぼくは小さい事に腹を立てたりイライラしたりする。
・2005/5/21・
ぼくは音楽をあいしている。
・2005/4/29・
神様の注射器と神様のハンマー。
神様が、また、悲しみの束を注射器に詰めて打ち付けた。 107から滲んで広がっていく。 それは、終わりの無い事の様に。
神様は、時に、どこかでは、幸福のハンマーを振りかざしている。 それは、真夏の夜の夢の様に。
神様は、どっちの時も、笑わない。 知っているのに教えてくれない。 ぼくたちはいつも、それに従うのみ。
・2005/4/22・
初夏の体験。
鮮やかなパステル色の花々が通り過ぎたら、次は、晴れやかな黄緑色の葉々が、溢れ出した。 太陽を背にして、塗りたてのペン
キみたいに、濡れた様に光る、黄緑が弾ける。 玉川上水に沿った道を車で行けば、低くせり出してアーチになった木々が、四方
からいっせいに襲う様に揺らめいている。
この悪意の無い罠に嵌めるまだ幼い初夏が、まわりに魔法かけたんだ。
緑の繭に包まれたまま一息すったら、体中に快感が広がった。
・2005/4/12・
桜の日々。
今年の桜は、高い気温で一気に咲いたせいか、ひと際美しかった。 モコモコと綿菓子のようにまとまった花が、わたしを見ろと
言わんばかりに、樹の幹の近くに寄った人達の足を止めた。 人は笑顔で、桜の、その洗礼を受け、ピンク色の世界に入っていっ
た。 桜は、満開になってからも、もうこれ以上は咲く事は出来ないのにもっともっと咲こうとしてる。 その躍動は、あたりに
そっとエネルギーを与えて、そして、文字通り、その場の空気に、花を敷き詰めた。
今日の雨は、桜を濡らし、艶を増した花びらを演出するだろう。 風が吹けば、花びらの雨が降り注いで、地面に桜色の絨毯を敷
くだろう。 全部の枝から花が剥がれ落ちたら、さびしくて、切ないんだろう。
桜の花の、ほんの一片の時に、毎年、心を奪われる。
・2005/4/6・
出会いと別れは親友同士。
ばかげた事で大笑いして、夜通し酒飲んだりして楽しくて楽しくてしかたがなかった。 そんな風に、友達と過ごした日々が、
いくつもあった。
べつにけんかした訳じゃないが、ギクシャクしたりもして、それぞれに会社、家庭、新しい人間関係が出来たりして、
疎遠になっていった。
けんかした訳じゃないから仲直りをする事も出来ない。
別れは、出会った時から始まっているのかな。
こんなに寂しい事は無いよ。
・2005/2/2・
循環のすすめ。
循環を促すだけで、喜びを覚える。 そういうふうに出来ている。 人間はそれだけで幸福になれるように出来ている。 一方
通行にならないように、日々工夫をするだけでいいんだ。 なんにも減らず、ただ増えていく。 かさなりあって沢山にになる。
元々完璧じゃないぼくらに、足りないものがあるのは当たり前、でも持っているものも確かにあるから、最初は少しだけでいい
から、渡せる分だけ、渡す。 循環の始まりだ。
・2004/12/22・
天体観測。
哀しみから美しさを取ったら何が残るんだろう
幸せから切なさを取ったら何に変わるんだろう
相手が望む以上の愛を注いだ時のこぼれた分は何処に言ってしまうんだろう
言葉から伝えるを取ったらそれは何になるんだろう
・2004/12/6・
お家に帰ろう。
木枯らしと木枯らしと遠い雲見て歌おう
夕暮れのグラデーションを見てお家に帰ろう
さようなら今日という日
出会った人たち
またすぐに会えるよ
それまでさよなら
あったかいあったかいシチューでも食べよう
街路樹のデコレーションくぐってお家に帰ろう
ありがとう今日という日
出会った人たち
またすぐに会おうよ
出会ってありがとう
・2004/11/17・
スメルス・ライクス・ローティーン・スピリット。
りんごの匂いを思い出した。 懐かしい匂い。 そう言えば今年に入ってから食べていない。 最後に食べたのはいつだったか。
今日は寒かったから、暖房をつけて、そして湯気を多めにたいた。 この柔和に暖かい、冬にしかない匂いに、子供の頃には
必ずりんごの匂いが混じっていた。 父親の古里の青森から送られて来たりんご箱が、いつも冬場の階段に二・三箱並んでいた。
箱を開けると、網目状のスポンジを着せられたりんごが、身売りされてきた様におとなしく並んでいた。
素朴にグラデーションのかかった赤いりんごを二つに割ると、蜜がたっぷりと滲んでいた。 夜になると、りんごの事など忘れ
てぐっすり眠った。
今夜、眠る前に突然時間を止めたのは、りんごの匂いだった。
・2004/10/20・
相模ディズニーシー。
台風の中、河口湖を目指して中央道を西に行く事になってしまった。
そこで、暴れる場所を見つけた雨と風が、光と踊っていた。
風が車と粉末にした水の幕に、対向車が出す光の束が滲み、それは、切り崩された山間を立体的に縫う道路が、夜光虫と化した
車のパレードの道すじとなって、まるで宇宙空間を走っているかの様な錯覚をおこした。
真っ黒な影だけになった山に点在する民家の光りは、その山のまなこの様で巨大な生き物に見え、自分の真横を追い越すトラ
ックは、光りをバースデイケーキの様に、赤黄白緑と四色に増やしてきらきらと走り抜けた。 案内板を下から強烈に照らす
サーチライトのこぼれた光りは、真っ直ぐ天へと続く絨毯だった。 口を半分開いたトンネルに入ると、宇宙船の休憩所に
寄った、宇宙旅行の長旅の途中だと思った。
それは、人間の浅はかな知恵を吐息ひとつで掻き混ぜる、神のしつけの様にも思えた。
しかし、水を、光が辛辣に照らす幻想的な光景は、本当に美しかった。 雨の綿帽子、滲みながら突き抜ける真っ白な光線。
この美しい世界を好きな人とくぐれたら幸せだろうなと思った。
・2004/10/14・
ミニチュア。
愛しい人よ
君に会えない一週間がながい
愛しい人よ
君のいない夜が重い
夜空の星屑が金米糖になって散らばって
地上に舞い降りたら金木犀の木にくっついて
そのまま花になった
甘い匂い夜露に輝く金米糖
この思いのミニチュア
・2004/10/08・
傘は天下の廻り物。
少しの雨くらいなら帽子をかぶって傘はささないで歩く事の方が多い。 帰り道すがら、降りが強くなった時には、新しい
傘を買う口実にもなるので。 いろんな色の傘を持っていればいいなといつも思っているけれど、しかし、何故かいっこうに増え
ない。 そう、無くしてしまうのです(置いてきてしまう?)。 時には電車の中に、時には飲み屋に、時には友人の家に、
最近ならば、黄色い傘二本、茶色い傘一本、ベージュの傘一本、無くしました。 そう思って我が家の玄関を見たら
買った覚えの無い、見慣れない傘が、何本かあった。 今日駅ビルで買った黄色い傘は、その内どっかに行ってしまうかな。
次の主人は誰になる。 傘は天下の廻り物。
・2004/09/11・
循環に於いての濃縮果汁還元方法。
君がくれた言葉が生きる力になる
君がくれた言葉で何故か泣きたくなる
この汚れた世界が今も汚されているなら
僕の出来る事は何があるんだろう
君がくれた言葉が胸の奥を弄る
僕の冷めた心が何故か豊かになる
沢山はいらない欲張っても意味が無い
もし余る様ならみんなに分けるよ
遠くでは難しいせめて近くの人に
どうせ僕等は完璧に出来ていない
・2004/08/22・
本物のカニかまぼこ、偽者のカニ。
春の切なさは、やわらかに胸を裂かれる様なそんな感じがするけど、秋の切なさは、その波に乗せられたまま何処かに連れて
行かれる様なそんな感じで、そのまま身を任せるしか術がなくなる。 逆う事なんか出来ないんだ。
眠るのがもったいなくて、朝まで起きていると、もてない何匹かのコオロギはずっと鳴いている。
TVではオリンピックと24時間テレビがやっていて、ここぞとばかりアナウンサーも知識人もタレントも立派に茶番を演じ
きっていた。
TVがディフォルメしたってそこには本当のものがあるのだから感動するに決まっているのに。
感動する。 茶番は見ない様にすればいい。
人間はこういうのが必要なんだ。
・2004/08/13・
今は。
センチメンタリズムに頼るのが嫌で、そんな表現がしたい。そんな曲を書いて歌いたい。
ヒューマニズムを餌にせず、朝が来て、強い空と暑い太陽がただ通り過ぎる時に、気が付くと元気が出ているような、
そんな歌が歌えたらいいな。
・2004/07/23・
オレンジジュース。
君がもしも形を変えてオレンジジュースになってしまったら僕は迷わず一気に飲み干してしまうよ。 胸の真ん中には瓶の
ビーカーが埋まっているのです。 今日も自分の体だか心だかを使って実験と研究の日々。 試さずにはいられなく、これが
科学なのか魔法なのかも解らないまま。 また懲りずも化学反応してしまい、体は溶けて液体の海に変わった。
海に浮かんで漂うビーカーのたどり着く砂浜に、君よ居てよ。
・2004/03/04・
リンクで冒険。
春の生苦しさに急に雨が混じり、埃っぽくなった真昼にむせて、夕方になって上を見たら、今日は満月だった。 映画だとか本だ
とか音楽だとか、実態のない映像を目の前にもたらす、そのやっかいな媒体群は今日もタイムマシンの様に、遠い筈のその幻想を
瞬間的にこの身と繋げて五感をくすぐる。 その匂い、その光、その音、その空気、そして、コーヒーを飲んだ。
繋がれている気がした。 人と、自然と、生きている。
・2004/02/01・
ラブレター。
今日は休みだから何も考えずに君に捧げる歌でも作ろう
ねぼけまなこでギター抱えて君への思いを歌に綴るよ
目覚めて目覚めてすぐ君を思うと一日中胸が痛い
目覚めてラブレター君だけにとどけばいい
君の電話やメールや言葉その姿が僕の胸を揺するよ
とりとめの無い思いの中でじれったい思いが秋に混じった
眠る前に眠る前にすぐ君を思うと目が覚めて苦しくなる
眠る前にラブレター君だけにとどけばいい
・2004/01/29・
治癒力増強法。
昔から、自分のお気に入りの曲を選んでそれを一本のテープにまとめる事が好きで、良く作っていたのだけれど、最近またふと思い
立って、久しぶりにホクホクと作りだしていた。 PCが手に入って、テープからCDに変わったけど。 ストーブをつけて部屋を熱くして
画面に向かって、聴きたいと思った曲をその瞬間に繋いでいく。 気持ちいい。
そうやって、要は、強制的に好きな音楽しか聴けない状態にして、癒しにかかるのだ。 嫌いな音は聴こえてほしくない時。
疲れた時には音楽がしみわたる。
・2004/01/17・
雪の音。
深夜、駅から家へ帰る短い間にどんどんでかくなった小さい雪。 夜に雪が混じると、静寂がゆっくりと舞って、聞こえない筈の雪の音が聞こ
えた。 耳を澄ます必要もなく、雪の隙間を型抜きする様に、雪の音は聞こえた。 マフラーもコートもあるから、寒さを楽しむ余裕も
あった。 夜と雪のミックスジュースを浴びて帰って来た部屋の窓からは、好きだった夏の蔦の絡んでいた隣の建物が取り壊されて、
広がっていた茶色い土は白い雪に変わっていた。 部屋は散らかったままだ。 いなくなった人達を思い出した。 帽子に付いた雪は
もう溶けていた。
遠くの記憶を呼び覚ます、夜と雪の中を歩くのは危険だ。
・2003/07/04・
エンとヒトとトカゲ。
小休止、夕暮れ時、ピアソラのレコードを聴いていたら、青くて綺麗な小さいトカゲが、東の窓の網戸の向こう側にくっついていた。
白いお腹を見せて。 写真だ!とカメラを探す10秒の内に、トカゲは行ってしまった悔しい。 都会が好きだがその殺伐と無機からは
逃げたいという傲慢な自分なので、部屋の周りに有機の、生き物の匂いがあったという事が、嬉しかった。 最近気付いたのだけれど
俺はハチュウルイが好きらしい。
明日は舞台だ。 日本舞踊の舞台には初めて立つ。 着物の着方も知らなかった自分が、日に日に日本舞踊の凄さに引き込まれて
いった。 始めて日の浅い自分が魅力など語れないが、伝統の芸は、芸術になっている素晴らしいものだ。 日本の文化は重い。
ここにたどり着けてくれた、助けてくれた、人と、人の縁と、トカゲに感謝。
・2003/06/30・
「どうして食べるの?」 「それはそこにあるからさ」。
有名ハンバーガーチェーンの、大嫌いなハンバーガーを無性に食べたくなった。 ポテトとホットコーヒー、気持ち悪くなる。
時に、毒を食らいたくなるのだ。 その矛盾に負けると、体は正直なもので、確実に元気が出なくなる。 一方、先日ひょんな事から、
有名デパートの地下食料品売り場で鶏肉を買った。 家に帰って丁寧に包装された包みを開けると、ぷりっとした肉が出てきてとても
美味しそう。 その肉をいつもやる様に、ニンニクと鷹の爪とオリーブ油で雑に炒めた。 うまかった。 すると、元気が出る。
当たり前の事なのに気付けないでいる事が、ここにもあった。 うまそうなものはうまくて体に良くて元気が出るのは、当然なのだ。
多分俺たちは普段ひどい物を食わされているのだ。 安くて手軽なものは元気の出ない物ばかり。 食べて元気が出ないという
のは、腐った物を食べているのと同じ事の様に思う。 ファーストフードの低迷は、日本よりも先に先進アメリカではすでに始まって
いる。 自分の健康は自分で守るしかない事を、アメリカ人はもう気付き、知っていて、その為に知識をつけ、情報を仕入れ、いい
ものを自分で選ぶ。 健康を自分で選んでいる。 現代人のイライラや若者の犯罪は、食習慣が無関係では無いことくらい、本当は、
みんな知っている。 知ること、選ぶことは必要だ。 若人は特に。
・2003/06/30・
できちゃった。
曲をつくった後にその曲を聴いているといつも、この曲は誰がつくったのだろうかと思う。 それは詩もそうだし、このホームページの
中の文章も、読み返すたびにそう思う。 自分は何一つコントロール出来ず、ただ完成したいという欲求と、良かれという感覚の声が
あるだけで、出来上がった曲なり詩なり絵なりを、自分がつくったと自覚する事はなぜか出来ない。 いつも自分の物であるとして
大切にする事だけだ。 これが気持ち悪い。 もう一人の自分がいて、勝手につくっている様な錯覚をおこす。
楽譜もコードも知らなかった頃に初めてつくった曲の中のふたつ、『a rainy day air』 『baby baby』 はすごく好きな曲なのだけれど、
どうやって出来たかは、今もよく覚えていない。 特に、知恵無くつくったから、よく覚えていない。 その曲が今も人気高いのは、とて
も皮肉だ。
俺がつくった曲とか詩は、いったい誰がつくったのだろう。
・2003/06/29・
だんごより花。
ギターを弾いていると、その、音の世界にグッとひきこまれて、そしてとても落ち着く。 こびりついたストレスとか、日常の中の色んな
マイナスのものに浸かる中で、見失いがちな自分を取り戻す手段になっている事に、いつからか気付いていた、
音は重要だ。 神経を痛めつけるノイズは、街に居る時は勿論、自分の部屋に居る時でも避けられなくなっている。 がさついた音、
電子音、機械の音、家電の音、自動車の音、クーラーの音、TVの音、全ての音にストレスを感じてヘトヘトになる。 ギターを弾く事は
ただ、楽しくて、好きなのだけれど、知らないうちにその音に癒されていて救われていた。 音楽の文化の乏しい日本は、商業目当て
の音楽がダイレクトに国民ひとりひとりに落ちてくる。 この国の子供たちは、自分では何も選べないのだから、この状況は最悪だ。
金儲けもいいけど、もっと音を大切に。
・2003/06/21・
でも、サド。
マゾヒスティックに、忙しく日々を過ごしていて、割と簡単に物事を投げ出す様だった子供の頃からは考えられないくらいの働きぶり、
もう毎日山を登っている感じ。 寝る時間など迷わず削る、ただの自虐。 かくあるそれぞれの期限をぎりぎりですり抜けて、明後日は
ひとつの山場、ライブに着いた。 思えばライブが原点だった。 昔、ニューヨークの真夜中にライブハウスにギター持って飛び込んで
強引にセッションをやらしてもらった、あの生身の感覚。 その感覚のまま日本に帰って、すぐ、歌いだした初めて。
ギターで歌える久しぶりあそこに帰れる。 楽しみ。
・2003/06/08・
牛乳事件。
子供の頃、家の冷蔵庫の中に賞味期限をすでに四ヶ月経過している牛乳パック(未開封)を発見した事があった。 食べられない物
が冷蔵庫の中に入りっぱなしになっている事は耐えられない性分だが、四ヶ月経った牛乳を見たのは初めてだったので、そのままに
しておいた。 取っておいてみたかった。 しかし、事件はその一月後に起こった。 牛乳のパックが開いていたのだ。 誰かが飲んで
しまった可能性が高い。 あせった。 誰だろう、俺がすぐに処分しておけばこんな事態にはならなかったのに。 自分の軽率な行為
を反省した。 だが、起こってしまった事はしかたがない。 自分を責めることもないかもしれない。 俺が腐った牛乳を買ってきて冷蔵
庫に入れた訳では無いではないか。 そうさ、一人ひとりが自己責任のもとに賞味期限を確認するのは当然のことさ、牛乳フリークの
義務さ、わるくないわるくない。
でも、今も少し気になる。 あの爆弾化した牛乳を飲んだのは、いったい、誰だったんだろう。
・2003/06/05・
人それぞれ。
街を歩いていて人にすれ違った時、さっきすれ違った人と似ているなと思って、いいや違うただ髪形とか洋服とかが同じ様なんだな
と思った。 他人と同じカッコウをしているという安心感で自分をガードしてそこから見える自意識に、目を伏せる。 今どきの
女子高校生は、通う学校に制服が無くても、自分で買って着ているそうだ。 他人と同じという安心感とか、女子高生というブランド
とか、かわいく見られるとかが、女性特有の自己防衛と優越感をくすぐるのか。 着る服さえも自分で決めないのか。
人と同じ格好はいやだ。 自分がその他大勢になってしまうのが怖い。 ここに居るのが自分でなくてはならないという、確固な理由
を持てていないと、死んでしまう。 死にたくない。 だから、選ぶ、創る、歌う、見せるのです。
・2003/05/21・
小さい夏。
横長の部屋の東側にある二つの窓からは、緑色のつたの葉が美しく、色濃く、隣りの建物の壁に寄り添っているのが見えて、毛の
長いフェイクファーみたいに鮮やかに光りながら風に揺れている。 もう夏だなあ梅雨入り前のこの時期の、この、力が膨れている
感じ、いいなあ。 西側には、干したばかりの洗濯物がいい匂いをさせながら同じ様に風に揺れていて、昼がこんなにも心地良い
と、移り変わった時の夜も心地良いはずだから、また、待ちどおしい。 Tシャツと、帽子と、指輪と、赤い靴で、出掛けよう。
・2003/05/19・
皐月雨浴。
雨に包まれた美しい世界は、突き抜ける様に晴れた日と同じくらいに好きだ。 雨をわずらわしいものに感じさせているものは、
先見を持たずに生まれた幾つかの文明のせいだと思う。 人ごみ、満員電車、止むのを待つ時間の無さ、濡らせない服やメイク、
酸性雨。 恵みの雨と共に過ごす喜びを、現代社会では、思い出すスキさえ少なくなっている。
だからたまには立ち止まって、雨宿りをして雨音を聞いたり、雫に揺れる雑草を眺めたり、傘を持って友達に逢いに行くのも、
いいでしょう?
・2003/04/30・
欲しい?いらない?
ものごころのついていた12歳の頃から、漠然を選んで日常をこなす様な生き方はしたくないと思っていた。 自分に何が出来るの
か、何がしたいのか、知りたかった。 自分は何が欲しいのか、何がいらないものなのか、知りたかった。 幼少の頃にオモチャを
欲しがった類いの物欲はその頃から自然と薄まって、今は、でかい家も、車も、時計も、ブランドも、あまり欲しいと思わなくなった。
もちろん身に付けるもの身の回りのものは気に入ったものでなければ絶対にいやだし、好きなブランドの服もあるけれど、ロゴを着
る事に興味は無くなっていた。 日本には豊かさという厚い贅肉があって、なかなか芯が見えにくい。 多くの人が今も、余分な情報
を知らされて、余分なものを手に入れている。 大人になってもオモチャをいじっている人がとても多い。
・2003/04/15・
桜さよなら。
桜がいちばんきれいな、散り際の余韻は、今年の雨があっさりとさらってしまいました。
雨を邪魔者にする気は元々無いけれど、桃色の全体にまばらな赤がまじって、
青空と少しの風に花びらが舞えば、もっと嬉しかった。
また来年までの、お楽しみ。
・2003/04/14・
気のせい気のせい?
桜は散り際に雨に吹かれて余韻を残せないまま葉っぱを出した。 暖かく季節を寄せて、今、薄着の人たちの心にもゆとりがある
ように見える。 戦争が終わったせいで、やっと春特有の気の緩みが空気に溶けだした。 気のせいなのか考えすぎなのか、アメ
リカのイラク攻撃の最中、街の電車の道のパン屋のスーパーの居酒屋の本屋の行く所全部の雰囲気が殺伐としている気がして
いた。 すごくよどんだ嫌な感情が空を覆っている様な感じ。 出会い頭の人みんないらいらしているピリピリしている様に思えた。
人の感情や心は、見えなくとも自分以外のものに伝わるものなら、戦争が生んだでかい憎悪とか破壊欲とかが地球全体を大気の
様に覆って、端っこにある日本にも届いている。 ミサイルを撃つ人ミサイルを撃たれる人戦車で領土に乗り込む人戦車に立ち向
って領土を護る人銃で殺す人銃で殺される人戦争賛成ファシストの人戦争反対ラブアンドピースの人イラクの人アメリカの人それ
以外の国の人関心のある人関心の無い人知っている人知らない人、この地球に生きるすべての人が、戦争中にマイナスの何かを
出した。 思い込み。
だけれど、感じていた。
・2003/04/03・
アメリカの理屈を聞くたびに。
戦争には正義もなにも、無いのです。 大切な人が死んだら一生悲しいのです。 若ければ、当然そういう経験をしないですんで
いる人が殆どで、だからそういう事を理解させる教育が必要なのに、今この国では、ないがしろにされている。
感性は芸術家にだけ必要なものではない。
・2003/03/24・
アメリカのCNNが、戦争の生中継をしていた。
アメリカ人がしそうな事だ。 何でもエンターテイメントにして金儲けににつなげる理性の無さは、奪い合うことしか知らない
狩猟民族の頭の悪さの象徴だ。 情報は知りたい、知らなければいけない。 戦争の悲惨さも、悲しみも、今、俺達は平和な場所
に居ても、感じていなければならないからだ。 だけれど、ミサイルを命中させて喜んでいるアメリカ兵や、その人殺しの現場を、
よくあるドキュメント番組と変わらない映像で映し出された画面は、深刻さを明確に伝えようとしているとは思えない。 生ぬるい
日本の人達にも、世界の平和な国にいる人々にも、特に子供達にも、この戦争のおぞましさを、想像させられるものにすべきだと
思う。 ブッシュ大統領は平和など願っていない。 ブッシュ自身も、戦争をエンターテイメントの一つくらいにしか思っていない様に
思える。 自分たち白人が、安全で、居心地のいい世界をつくろうとしているだけだ。
・2003/03/18・
戦争が始まる直前の今一年半前の事を思い出した。
イギリスに一人旅に行った時ちょうどロンドンのつまらなさに絶望していっそNYに行こうかなんて思っていた時それなら郊外の
ブライトンなら面白いかもしれないよと聞いて行った帰りの地下鉄の駅が人だかりになっていてまたストライキになって電車が
止まっているのかなやだななんて思っていたら時刻表の隣りにあるでかいモニター画面にビルから煙りが出ている映像が流れ
ていてみんな立ち止まって見ていてなんだ今度のアクション映画かなんかの新作が流れているのかなと思ったらちょっと
待てよなんか違うぞ駅の雰囲気も違うぞピリピリしてるこれは映画なんかじゃなくて本当の映像だCNNのリアルタイムの
映像だうわっビル火災かすげえまじかよしゃれになんねえと思ったらいや待てよよく見ると画面の端に「テロリストインアメリカ」
なんてテロップが出てる飛行機がビルに突っ込む映像が流れるテロだったんだもしもNYに行っていたら間違いなく三週間位
は日本に帰ってこれなかったもしもその時に自由の女神を観に行っていたら死んでいたかもしれないもしも自分がアメリカ人
だったら家族や友人や恋人や愛する人が死んでいたかもしれないそんな事を考えていた考える事しか出来なかったしなかった
ホテルに帰って独りの時に夜通しNYテロをTVで見ていたビールを飲んでいたその何日か後飛行機に乗って成田空港に着い
てそしたら日本はその日は九月半ばなのに半袖Tシャツの人がいる位暖かくてバスに乗って新宿に着いてそこからJR中央線
に乗ろうとしてホームで電車を待っていたら下着姿の様な若い女の子や電話をずっといじっている人や立つ事以外していない
様な人達がマシュマロみたいな空気の中に居た半日前のイギリスのロンドンのブライトンの街の空港のあの緊迫が嘘の様
だった日本は閉ざされたお菓子の国みたいに思えた。
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